バイオリン
基礎トレーニング(徒弟修業期間とバイオリン製作学校からの卒業)の間と、終了後、私は、出来る限り楽器のコピーを、オリジナルに可能な限り同じように作ろうと、努力しました。しかし、いくつもの理由があって、今はもう、やっていません。アンティーク楽器を、ある程度研究した事のある人であれば、真っ先に、明らかに分かることは、私たちが今研究しているものは、かつての巨匠らによって築かれたものと、多くの点で、変ってしまっているという事です。アーチは、長年にわたる絶え間ないプレッシャーやストレスによって歪められ、乏しい修理によって、押されたり、引っ張られたりしたあげく、オリジナルより品格が落ちてしまうなど、理由は、いくらでもあります。偉大な楽器を研究する事は、非常に大事だと思いますが、本来の趣旨に対する変更を、評価して、それらに報いることもまた、非常に大事な事だと思います。古くなる過程をまねするために、意図的に歪めらたアーチをもって、新しい楽器を作る事は、あまり意味のある事だとは思いません。また、私が、楽器に対して思いを込めている、長い楽器の寿命というものにも良くありません。
過去の14年間、私は、ひとつのモデルのバイオリンを提供してきました。それは、およそ1742年辺りの、 ガルネリ・デル・ジェス にとって中期となる時期の作品に影響されています。「影響」とは、この場合、主となるボディーの大きさのことを意味しています。1735年から、いくつかのガルネリ・デル・ジェスバイオリンの膨大な研究の後、今、わたしは、この時期をもとにしたモデルを提供するつもりです。2つの間の一番の違いは、ボディーが、約2ミリの差で、若干、小さくなっています。そして全体の弦の長さが、初期モデルに比例して短くなっています。音の質は、とても似ています。豊かな低音と、広大な高音域を、生み出します。
この時点で、すでに私は、39年間、バイオリン職人であり、そして、これまでに築き上げた評判を、誇りに思っています。特に、今日の名前の知れたほとんどの音楽家が、長年にわたり、私の楽器を、いくつも求めてくれたということを誇りに思ます。 また、その事は、私の楽器は、その音質を維持するばかりでなく、時間とともに、向上していくという事でもあります。また、私のいづれのクライアント様も、私が、クライアントと楽器に対して提供する完遂した、長期間にわたる行き届いたケアに、満足して頂いております。